こんばんは。
死にたい死にたいって、よく口に出る奴がいるだろう。そうさ。あれらの半分は、死にたくなくて、誰かに構って欲しくて口に出しているけれど、半分位はどうだろうねぇ、死んでもいいやって思ってるんじゃないのかねぇ。
今すぐって覚悟は持ち合わせちゃいないんだろうけれど、どうだろうねぇ、あんがい、死んでみる気になったりするじゃないの。そそのかして、うんと怒らせたでもしたら、もう投げやりで、そのまま思いのままに、刃物を突き動かすのもおるねぇ。
あたしの役目は、それの肩をちょっと押すだけなんだよ。
人間、生きてりゃ、お天道様が照る日ばかりじゃないのにさ、どうだい、あれらは、いつでもお天道様があって当然だと笑うじゃないか。おかしいねぇ。おかしくないかい?死にたいと思うあれらに、お天道様は要るのかねぇ?あたしゃ、いらんと思うねぇ。
え?こりゃ、よく聞こえんね。もっと大きな声で言ってご覧よ。あたしを誰だと思ってんのかとね。ほれ、ほれ、もっと大きな声でいうてみんしゃい。あたしはあんたの気が向けば、迎えに来るつもりでここまで来たおひとよしだよ。ひとは死神ともいうがね。
あんたが望めば、もうこんな世なんかとおさらばもできる。その代わり、ちゃんと連れてってくれってぇ?人使いのあらい人だね。あたしには用事があるんだ。 あんたは、そのまんま、あたしの手伝いだけでね。ちょっとしばらく陰気臭い人間の臭気を嗅いで回ることしかできなくなるのさ。
怖いって言われてもねぇ。あたしからしたら、迎えに来てくれだの、やっぱ嫌ダ言うあんたのほうが怖い思いもするがの。
おや、旅支度はどうしゃった。
朋