横山 信弘
ダイヤモンド社
2012-11-02(習慣化された行動は、行い慣れる人には慣れたことだが、それを習慣づけるのが遥かに難しい)
こんにちは。
世の中に必死でしがみついていた弱いメンタルが、ふとした拍子に、自分を奈落へ落してしまった。
そのショックは、当人ではないと分からない問題だろう。あっという間に、休職から、職を失い、路頭に迷う。ハローワークに通っても、一向に結果が出ず、結果的に、心療内科の門をくぐる。
そこで出たものは、「沢山のお薬」だったりしたら、余計にあなたは焦りを覚えるだろう。飲めば、感覚は鈍磨し、考えることもままならない。あなたの焦りは頂点へ達し、あなたは薬を止めようともがき苦しむ。
でも、今のあなたに薬を止めることをわたしは勧めない。あなたは、自分の人生に対して、自分が甘い事も分かっている。分かった上でできる限り頑張って頑張りぬいた人もいれば、皆を小馬鹿にしてお高くとまっていて、結局、何も得られないまま、放り出された人も多いだろう。
薬を飲んで何が変わるかは、わたし的には、あなたのことはあなたが一番よくわかると思う。薬は、あなたの焦燥感を押さえる為に、処方されたものであるということを認識してほしいと思う。
社会から脱落して、いきなりすがるところがないのは、経済的にも精神的にも心細いモノである。
しかし、今までのあなたは、どう生きてきたのか。少しでも稼ぎの中から、将来どんなことがあってもいいように「蓄え」がなかったのだろうか。その点がもし、何もないのであれば、あなたの焦りはもっともで、あなたの外見にその焦りと半端ないガツガツさが浮き出てくる。
世の中、企業はすでに就職している周囲と調和が取れる人を選ぶのであって、あなたがガツガツして調和を乱すと言うのであれば、やはり外見に既にその表情が出ていたら、それは面接で落とされるだろう。
その表情とは、瞳孔が開き、目を見開いて、とかく口角に泡を飛ばして喋り、余裕のない態度という一言に尽きる。逆に、ありのままの自分を見せようとして行く人もいるが、これも、一回企業ではねられた経験が外見に出ているので、次へは難しい。
とかく、余裕があり度胸があって、覚悟を決めてじっくり行う人を探している。
最低賃金のバイトだって、結局は仕事をフルで回さなければならない程、頭の回転が必要とされる。焦燥感に煮えたぎった人の頭の中は、回転が鈍いので、焦燥感をとにかく自分の中から消さなくては、結局そんなバイトでさえ、満足にお勤めができない。
わたしが、色々な職を務めてきた経験から言えば、末端であればある程、「地頭の回転の良さ」を尊重し、知識はほんの少しである。コンビニの商品の知識に関しては、あれは、ほんの少しの知識に過ぎない。その中で、できる限りを尽くして、周りを回していく事を、上層部は期待している。
少し上になると、「地頭の回転の良さ」にプラスして、「いくつもの仕事を同時並行でこなすこと」を求められる。この時点でうまく行けば、「地頭の回転の良さ」にプラスして、「沢山の知識」で済む可能性もある。なので、皆、資格を習得しようとするのは、このためである。
もう少し上に行くと、「地頭の回転の良さ」にプラスし、「協調性」を求められ、「多少なりひがみなどのやり過ごし」を求められる。これは、自分の仕事以外で携わる人に、ちゃんと営業しておく必要がある。営業は、媚びではない。
更に上に行くと、「部下の管理」がタスクに加わり、「さらに膨大な知識」があって当たり前という世界になる。こうなると、専門職で食べていくなら知識は深く、トレンドに敏感である事。ゼネラリストで食べていくなら、企業を横断する知識の持ち主が必要となってくる。こうなると「好むと好まざるを関わらず、もっとさらに膨大な知識」が必要となる。「協調性があって、周囲と和やかに行える癖」がないと人事評価は上がらない。
さぁ、どうだろう。あなたの目的とするところはどの辺だろうか。どの道、頭の回転の良さを求められて、「常に誰が何を欲しているかを見つけなくてはいけない」仕事となる。常に誰が何をして欲しいか「察する」のではなく、「見つける」仕事である。
あなたも大体働き方が分かっただろう。下になればなるほど、労働はきつくなると思うだろう。しかし、上の人は、ブラック真っ青で、体調管理に気を使いながら、懸命に走り続けている。あなたにそれができないのであれば、あなたは、諦めて、自分に手が届きそうなレベルを探すしかない。
もし、あなたが知識を覚えるのが苦手なら、そういう職は沢山ある。ただ、かなり給料は安いし、外見に対して求められる要求は厳しい。もし、あなたが知識は覚えられるけれど、人を相手にしたくない場合、これは残念だが、大変い倍率が高い仕事である。
強いて言えば、このわたしを、追い越してその椅子に座るだけの「目標と覚悟」を決めて、絶対にそれが達成できるまでは弱音は吐かないというレベルが必要である。だが、実際には、色々な人がいて、わたしも実は、追い越して椅子を蹴飛ばせない相手など、山の様にいる。
そんな中で、あなたの焦りはどうだろうか。自分が追い求めていた山の高さを客観的に見る事ができるだろうか。失った自信はすぐには戻らない。わたしも、病で自信を失った時は、本当に辛い思いをした。しかし、その分、できる限り、本を読んで勉強を重ねた。重ねた年月の分だけ、わたしは成長をした。
思い通りの仕事にはいないけれど、それでも、わたしができる仕事を、「今最善を尽くしてやり抜く」ことだけが大事だと思っている。
あなたの焦りも、失った自信も、どうしたらいいか途方に暮れる面もよくわかるが、できるなら、あなたには、ゆっくり休んでもらって、どの辺に照準を絞ったらよいか、自分ができる最大の範囲について調べておくことを勧める。
ちなみに、わたしは、心理学を専攻したが、実は半分以上は自分を的確に把握するための手段と、息子に必要以上に負荷をかけない手段を学びに行ったにすぎなかった。しかし、結果として、わたしは、統計から数理統計に秀でている面をピックアップされて、現在に至っている。どこでどう繋がるか分からないのが、現状である。
しかし、実は、研究室でゆっくりと研究を進めるのが好きだったわたしは、現状の状態で煽られながら進んでいる。発達障害は同じ職場でないと慣れないという面を持っているのに、わたしは、同じ職場にいると、ルーチンワーク的になってしまい、そうなると仕事へのモチベーションがかなり落ちてしまう。
それ故、常に新しい仕事へと向かう癖もあり、新しい仕事に就いた時の焦燥感は半端ない。自信も失われるし、ダメ出し感が満載である。
しかし、そこを乗り越えると、わたしは、知識の泉が待っているのを知っている。
わたしを満足させるのは知識の泉なので、泉が湧き上がっているのを見て、思う存分飲み干し、その知識に浸れる達成感を知っているから、こんな神経高ぶる仕事でも案外やれている。
人にはそれぞれ、色々な特徴があって、同じ頂点を目指す必要はない。だから、あなたには、あなたが登れるところまで登れば、まずは安全であると思えばいい。登れない時も、山登りはたまにある。そういう時は、天候が荒れたりするので、避難したりして、回復するのを待つ。
山登りは焦ってできることじゃない。淡々と、粛々と登っていくストイックなものである。余計な焦りや、余計なたわごとや、余計な口をはさむ暇があったら、自分の一歩前を見て、倒れる時は前へ倒れろ。
ひとりでのぼる山もある。二人でのぼる山もある。家族でのぼる山もある。
種々色々、失った自信を取り戻そう。
朋
清水 勇
学事出版
2006-03(息子に関してなら、毎週自信を失っています苦笑一喜一憂とはまさにこのことかと。)