こんにちは。
よく、就活をする際に、色々とお断りのレターが来ることがある。
「慎重に検討した結果、今回は見送りとさせて頂く事にしました」とかで代表的な、「お祈りレター」である。不採用通知が「お祈り」と揶揄されるの は、最後の方に必ず、「貴殿のますますのご活躍を祈念申し上げます」という文で結ばれるからだろう。だからこそ、「記念」と揶揄されることもある。
この場合によくよく考えて欲しいのは、基本は、その人が、社の文化に馴染めるかどうかが問題となる。
日本は、「ご縁」という言葉で婉曲に断ることをするが、受験でも何でも、結局は、「実力が出せる問題」が出る「運」と、その学校に馴染めるかのカ ラー相性による「縁」がある。子供が小さければ、親が出ていく面が多くなる。となると、在校生の親御さんと、問題を起こしそうな新規の親はご遠慮願うとい うのが、大体の私立のスタンスである。
逆に「PTAによるご紹介」「OBのご紹介」というのは、その人の「人となり」を保証できますという事前の仮面接パスのようなものであり、力を持つPTAの保証であれば、きっと「うち」となりを心得ているのだろうと思って入れてくれるのが、「縁故枠」である。
ところで、同じ仕事でも、会社が違うと色々ある。反対に、その会社にあまりにマッチしていて、別の仕事でもいいから来てくれないか?と尋ねられるこ ともある。社風に馴染める人間であるというのは、調和や協調性を尊ぶ日本人独自の考え方だが、集団で何かを起こす場合には、多少なりこの社風に馴染めるか どうかが、カギとなる。
だから、お給料が多いとか、昇進しやすいとか、知名度があるというだけでは、会社選びはうまくは行かない。
わたしもかつて、知名度だけで選んだ会社があった。どういう訳か、わたしは社風を理解してしまって、馴染んでしまった。ある日、馴染んだ会社を見 て、ぞっとした。あまりにその社風に馴染みすぎて、自分が鈍磨してしまった事に気が付いたからだ。だから、その会社を出て、他へ行った。他へ行ったら、そ こもどういう訳か、社風に合ってしまった。瞬く間に出世した。
しかし、IT関連で、人は就職した後、よくうつ病を発症してしまうことが多い。
大体は、お給料が多いとか、昇進しやすいとか、知名度に騙されて、自分が社風に合っているかどうか、馴染めるかどうかを理解していなかったリサーチ 不足である。昇進しやすいという事は、つまり、あなたの同僚は「辞めやすい職場」なのだ。お給料が多ければ、「ブラックではない」と言い張る会社もある。 しかし、あなたの性格によっても、「様々な性格を持つ人を雇っていない会社」は、許容範囲が狭いと思う。
あなたは、あなたを理解して認めて欲しいと会社に思う事だろう。しかし、会社としては、極力短い面接時間にて、人材を見分けるのだから、中々難しい事がある。
例えば、金融のリテール部門だと、かなりきついノルマと、かなりきついプレッシャーを背負う事となる。これで、メンタルを病まない、「戦い続ける事ができる超人」が幾らでも育っていく。育たない人は、完全にその社の中で馴染めず、メンタルを病むだろう。
IT部門で、納期をどんどん超えて、「廃人同様になりながら続ける仕事」だけでは務まらない。金融部門や、コンサル関係は、契約が「自身の給料に響 く」ので、多少なりとて厳しくても、コミュニケーション能力、ソーシャルスキルを駆使し、どんなことをしても戦いぬかなくてはならない。
こういう人は、そもそも体のつくりが「タフ」にできてはいるが、色々と厳しいプライベートが重なってしまうと、「免疫不全」関係の病に陥ることもある。
しかし、「お金の為」と割り切って働ける人にとっては、全然メンタルを病む職場ではない。また、独特な文化を持っている社もあるので、そうなると、この独特な文化を理解し、その社の文化で生きていける人以外は難しくなってしまう。
人事は、恐らくそこまで見ている暇はないだろう。
先ほどの例えの金融リテールも、店によって個々のカラーがある。銀行でも、どこの支店かによって、様々なカラーがある。そこまでマッチするような人 材を見つけてくることは難しいだろう。大体は、社風に馴染めるかというよりは、そもそも、問題行動を起こさないかどうかや、変な思想や宗教を持っていない か、また、妙なことをやらかさないかという点を見ることで忙しいかもしれない。怒鳴り込んでくるクレーム親を持っているか、クレーム兄妹を持っていないか 等を見るだけで、精いっぱいかもしれない。
メンタル耐性については、やはり弱い人は圧倒的に弱い。そもそも、受け皿の許容量が少ないので、これを何かで強化したいと考えても難しいのではない かと思う事がある。厳しい時代では、生き残ってきた人が少ないからこそ、厳しく生き残ってきた人のみにフォーカスが当たってしまう都合上、怠け癖があるひ とや、甘えてばかりいる人、依存症の人がどう生き残ったかを見つけることが難しい。
しかし、メンタルが弱いのだと思い込んでいる人も、意外と会社を変えてみたら、「マッチしてしまう」ケースもある。その文化に、誰よりも馴染んで、 天賦の才を現すこともある。だが、大半は、転職癖がついてしまい、沢山の会社の中で、「ここも合わない、あそこも合わない」とだけつぶやき、退職癖がつく ケースもある。あまりに転職や離職が多いと、次の就職へどんどん遠ざかってしまう。
しっかりと、自分が入りたい会社の社風を調べ、OBやOGのその先を見極めることも大事であるし、若い人が多い職場で、年を取った人はどうなってい るのか「探すことができない職場」であるなら、恐らく、年を取った人は、転職するのである。そうして、若い人には、昇進の機会が多くなるのである。
就職してメンタルを病む前に、まず、そこしか受からなかったという事になった場合、入った後のことについて、かなり覚悟した方がいいと思う事が多い。
わたしも、かつて心が折れるほど、就活を行ったこともあったが、結局は、よくよく考えると、ずっと自分は、「ある職場の文化」に馴染んだままなんだ ろうなと思う事がある。その職場は、多くの同胞が一旦は、離れることもある。だが、どういう訳か、戻ってくることもできる。大変入社に難しい職場である が、ある程度できる人に関しては、出入り自由なそんな風潮もある。
日本だけの話ではなく、海外でも同様に多いケースであり、だからこそ、理念を理解し合える同胞を多く雇いたがるところも多い。民族によっては、思想 があるので、その思想に基づいた理念で構成されている会社も少なくはない。だからこそ、一度そういう企業に入って馴染んでしまえれば、後はフリーパスとな る傾向もある。
ただ、基本的には修羅場に強く圧倒的な許容量を持つ人を選びたがるが、時として、社によっては、「オーバースペック」をお断りする文化もある。優れ過ぎればどこでも受け入れられるのではなく、それこそ、婉曲な方法で表現するとなると、「ご縁」なのだろうなと思う事がある。
ところで、新しく11月に面接を行った人の中で、ひとりだけ来年度の新卒の入社が決まった。しかし、その前に、職場の文化を体験してほしく、現在、 来ていただいて、学んでいただいているが、その人間は、そもそも、普通の新卒の就活の時期に、どこも受からなかったと言う。しかし、かなり優秀な子で、何 も申し分ない。
恐らく、その就活の際には、あまり「どこかに受かりたい」という希望も何もなくて明確じゃなかったんだろうとは思う。しかし、なんというか、この時 期に面接をして、職場の文化に馴染める人間なので、柔軟性はかなりある。これも、きっと、当人にとっての、「ご縁」なんだろう。
だから、凄く会社や集団に参加する、脱落することは、理不尽で不条理だけれど、「縁」としか言い表せない、なにか運命的なものを感じることが時々ある。
朋