こんにちは。


人間の行動を見ていて、理解できない人たちの行動があります。何故、その人たちは、そういう行動を取りたがるのか。その理由について少しこれから考えてみたいと思います。

さて、人間の中には外から見て十分、自己中なことは分かるのですが、他人を思いやることをしない自己中の中でも、理解不能な人間がいます。およそ他人と相容れない種類の人間として、「平気で嘘をつく人たち(People of the lie)」にてペック博士はこう語ります。
「邪悪」と「虚偽」の心理学。自己正当化のために、あらゆる手段で相手を支配する。その自己正当化は、自己愛の過ぎ たる所以で、自分の内面を見る事が決してできない人であると。

さて、心理学では、自己愛は自己愛性人格障害等と名をつけています。

このような人間は、好んでカウンセリングへ来る訳ではありませんが、時として家族がカウンセリングに連れてくるケースがあります。そういう兆候は、まず顕著なのは小動物を飼っては死なせること。こんなことから、少しずつ疑問を持つ周囲が、カウンセリングを勧めます。

カウンセリングはその端的な問題行動から、その人間が隠している素質や願望、真実を見つけるべきなのですが中々難しいことです。理由は、当人が、願望を見破られる危機感から、「カウンセラーごと」虚言で丸め込む可能性があるからです。問題行動はいつも、弱者に向けて行われます。これだと、願望は簡単にわかりますね。「誰か、自分より弱いモノを支配したい」

支配欲は非常強い動機です。

人間は、理解できない相手に対する恐怖感としての理由として、相手が内面で何を考えているのか、すべての行動の理由が読めないこと、また、次にどんな行動をするのかが読めないこと等が挙げられています。

支配欲は、色々な分野に及んで行われます。自分より劣ったものをいじめることに、「家庭内のいじめ」「学校内のいじめ」「職場のいじめ」等がありますが、それだけではありません。恋愛における略奪愛、また不倫によくある愛人体質・浮気性、ヒモ体質、宗教によく出てくる依存体質も、支配欲の一つです。また、家庭の中で、「子供を支配したがる母親」「厳格な父親(実は子供には厳格だが、凄くだらしない)」も支配欲のひとつで、理想の人間を子供に求め、子供がそうなるように仕向けていきます。

彼らは、自分が子供の頃は甘えられなかったから、自分は貧乏で不幸だった、人がうらやましかった、妬ましかった等、もっともらしい後付の悩みを言う人が多いです。しかし、甘えられなくて苦しんだ、全ての人がこうなる訳ではありません。それら不満を解消し昇華して、大人となり、親となり、次世代を育てていく人が出現する限り、それらは、単に精神力の弱さによる甘えにしか過ぎません。

支配欲の強い人は、誰でも、徹底的に気分で振り回し、嘘をつき、肝心なことを言わないで、引きずり倒し、脅します。人格障害の人は、自分に対して人がどこまでしてくれるのか、徹底的に試します。子供の頃に愛情形成がうまく行かないケースだと、相手と自分の距離感が掴みにいのですが、彼らはそれを治そうとは思わないようです。
彼らは、最初は、母性心を煽るような形で相手の懐に飛び込んできますが、ドンドン相手が、「情け」を出して救ってくれるうちに、最後には桁外れの要求をしてくることがあります。割と、修羅場になりやすいです。「今すぐ死ぬ」とか、「○○してくれないと、死ぬ」等脅してきて、相手が屈服せざるを得ない事と引き換えに、望みをかなえる癖がつきます。

ところで、こういう人格障害の人の場合は、その屈服せざるを得ないモノサシが桁外れている例としては、コップへ少しの水を満たせばよかった状態だった頃から、すぐに要求は加速し、最後は、太平洋を今すぐ、「シャンパンで埋め尽くせ」程の常軌を逸脱した要求へ走ります。流石に普通は、無理だと思って突き放そうとし始めるのですが、その感情に大変過敏で、それを察知すると「自身や小さな命」を盾にして、脅しを続けます。

なかには、この支配欲で、徹底的に他の人の人格を破壊する人もいます。その中の一つの例が、この本に出てくる「毒になる親」です。

毒親は、自分さえ、心地よければいいと思っています。また、自分の方面でしか物事を見ませんし、全ての人は自分に従って当たり前だと思っています。
私の知っている例では、バタフライナイフが好き だった姉がバタフライナイフで自殺をしたという痛ましい事件がありました。ところが、その親は、どういう理由か、その弟に「姉の自殺したバタフライナイフ」をプレゼントしました。弟は、そして、1年後にそのバタフライナイフで自殺しました。親は、かなり驚いていて、カウンセリングを受け、そこから、事件の真相が判明しました。親は、実は、「何も考えていなかった」のです。

これがペック 博士の例では、「銃」です。兄弟が自殺に使った銃を、「あったからあげた」と、親の意向は至って単純な動機です。その割に、かなり金持ちの親です。兄弟が自殺に使った銃をプレゼントされた子供は、意味のある品を渡されたことにより、親が気が付かない「無言のメッセージ」を受け取ります。親の意向とは別で、「これでお前も死ね」と言われているのかと苦悩します。

「銃」を欲しがっていたから、それで死んだ子の「銃」をあげたのだと言うのですが、形見という形で渡した形跡はないのです。あくまで、暗に秘めたるメッセージ性を発するやり方で、渡しているのです。渡しておきながらメッセージ性があることには気が付かないところは、短慮で浅慮な考えです。
でも、理解できない人は、大体は、「悪気はなかった」と言う程、何も考えていないのです。何も考えていないからこそ、そこまで怖い行動がとれるのです。子供をすべて失う事を想定していたら、きっとできなかったことでしょう。
その何も考えない行動は全て、自分の利益の為です。「銃」を新しく買いたくなかった。ただそれだけで、自殺した子供の銃を、残る子供にプレゼントできるのでしょう。無意識のうちに、支配したい人は、自分の利益だけ考えて動いているのです。

ところで、世の中は、支配したい人であふれています。親や支配したい夫、妻、支配したい・・・・・から、逃げ出せずに思考を失った人はかなり多いです。無意識では死を選ぶほど辛い経験なのですが、意外と受け入れて「自我崩壊」にもつれ込むのです。

問題は、その「自我崩壊」になった人はかなりの頻度でカウンセリングや精神療法をさせられるのに、問題の支配したい欲求が強い人はそういう対象者として見 られる事が少ないのです。彼らは毅然として、詭弁を雄弁に語り、如何に相手に対し自分が振り回されているかを延々と述べますが、その実は自分が相手を振り 回した結果だとは考えたことは全く無いようです。

まぁ、こういう人を、ペック博士は良心がない人間として「邪悪」な人と呼ぶわけですが、邪悪というよりは、自己愛の自己の欲求・願望に忠実であり、人の迷惑を顧みず、自分の望みをかなえるためには法律の関与は絶対に許さないという姿勢を貫く姿勢は、「犯罪者」のようです。自分の要求を通すためには、口手八丁で、色々なところに掻い潜って、ターゲットを探し 出し、見つけたら執拗につけ回し、慎重に破壊して歩くわけです。
自分の心からの願いはたった一つ。「自分より弱い人を完全に支配したい」。

邪悪心理にて支配したい人は、巧みな言い回しで相手の自信を失わせ、やる気を取り上げ、自分自身なしでは居られないように相手の精神 力を壊していきます。それを、宗教や健康食品やマルチでは「洗脳」と呼ぶかもしれませんし、DVでは、「共依存」と呼ぶかもしれません。
何にせよ、強力な武器(虚言)を後ろ手に隠して、脅してなだめすかして、相手を壊して従わせるのです。相手にはもはや、選択肢の浮かぶ思考などありません。完全に、Yesになるのです。

ところで、どうして、支配したがる人こそが精神カウンセリングを受けずに、「次の獲物」を探しに行けて、残された人は長いこと心に傷を負うのかと申しますと、それは残され た方がどれ程支配者に依存していたり、どれ程無抵抗であったかにもよります。つまり、「嘘のつき方」が余りに巧妙すぎると、大人でもやはり「見抜けない」ものなんです ね。熟練したペック博士でも、その人を見抜くのに時間がかかります。

その嘘は、逆に逆手に取ると、案外面白い結果を生み出します。徹底的に逆手にとって見ると実はその人は、「自分に自信もなく、誰かを支配して、その中で安穏としていたかった孤独な像」が見えてきます。その孤独に耐え切れない精神力の弱さが、この支配 を招くのです。支配ができなかったら、完全な拒否となります。
まぁ、いじめでもそうですね。パシリに完全にできなかったら、無視ですもんね。まぁ、どっち かしかできないんですよ。究極の自己愛は誰しも、「孤独が怖い」んですから。

まぁ、その真実をどう相手に悟らせるか等は「考えることさえ無駄」です。こういう人たちは、反省も自省もしないです。してたら、あなたもわたしも救われる面もありますが、多くの被害者が心に長い こと傷を持つのは、「反省しない」「自省しない」つまりは「悪いことだと思っていない」相手の態度に失望するからでしょう。

被害者の方面からの言い訳は弾丸的に出ますよ。でも、被害者が攻撃すると、あの強かった支配者は、急に閉じこもってしまいます。その、「拒否」の盾は、まるで大きな要塞並です。その陽のささない要塞の中で、実は足を組んで座っている「小さな子ども」がこの方々の本質的な中身です。
いつまでも成熟しない。いつまでも、拒み続け、自分に従うものだけを門に招きいれ、要塞の暗がりで暴力行為を続けるのです。

この人たちは、人を傷つけるのには何とも思わな くても、自分がほんの塵一つでも傷つく、磨耗するのは嫌なんですよ。
だから、究極の自己愛。
精神的弱さは、サバイバーを遥かにしのぐ弱さです。サバイ バーが精神力という武器を身につけることができても、この方々は、いつまでも丸腰なので、戦えません。まっとうに戦ったら絶対に負けは見えているからこそ、負けない処で、優位に立って高飛車で説教を食らわし、相手のメンタルを破壊し、支配したがるのですね。

「傷つかないように、傷つけ回っている」そういう理論を理解して受け入れるには、こういう支配者になりたがる人には、プライドだけが高い人が多いですね。自分に不利な事を、何度でも既成事実を作って、作れないときは、人を騙してまで既成事実を作って、「人のせい」に擦り付けます。教養が至って高い、 地位の高い人でも十分行いますし、教養が低くても、金持ちであろうが、貧乏であろうが、まぁ、フラストレーションが溜まれば、誰でもするんですね。


結局、支配欲は、誰の心にもあるもんですから。



脳は平気で嘘をつく 「嘘」と「誤解」の心理学入門 (角川oneテーマ21)
植木 理恵
KADOKAWA / 角川書店
2014-03-20(まぁ、あなたに見えているものとわたしに見えるものは、みんな全く同じですか?って極論から始まるんですが。)

新聞・テレビはなぜ平気で「ウソ」をつくのか (PHP新書)
上杉 隆
PHP研究所
2012-02-15(マスコミ・メディアは、目的があって嘘をつきます。目的=視聴率)